受験英語の問題点
とある理由で、いくつかの塾にて、中学、高校レベルの英語の問題を解く機会がありました。
解いてみて、未だにこうした問題を塾などで解かせているのかと思うと、
なんだかまだまだ日本の英語教育は遅れているなーと感じたので、
その問題点について書きたいと思います。
1つ目 和訳をさせる問題。
長文の中の一文に、線がひいてあって、その文を訳させる問題があります。
和訳をさせる問題は本当に悪問だと思っています。
英文は英文のまま理解させるべきで、和訳するとなれば、翻訳能力が必要となってきます。
翻訳の資格をとるための問題ならわかりますが、受験においてはまず英語を英語として理解させる必要があります。
訳すとなると、それは英語を理解するという技術だけではなく、自然な日本語にできるかという日本語能力の話になってくるので、純粋に英語力を測っているとはいえません。
それに、こうした問題が存在するがために、授業において、文法訳読法がとられてしまうのです。
英語は左から右に読むべきなのに、日本語にすることを意識すると、
右から左へと読む癖がついてしまい、Readingの速さが落ち、英語の感覚を失います。
2つ目 長文読解?
なぜか多くの問題が、長文の体をなしていながら、その中にたくさん線がひいてあり、
アイウ、(1) (2) (3)、a, b, cと問題が分かれています。
つまり、問題1を解こうとすると、アイウが長文の随所にちらばっていて、
問題2を解こうとすると、また(1) (2) (3)を確認して、答えていかなければなりません。
しかもその問題は、長文の中身を問う問題ではなく、文法の問題や語彙の問題だったりします。
こうした問題は、総合問題と呼ばれています。
英語の本を読むときは、上から下まで読んで、また上に戻ってその途中の語句の意味を確かめたり、和訳したりしません。
さらに、Readingのskillとしては
全体の内容の要点(gist)が分かる能力
特定の情報(specific information)を読み取る能力
細かい内容(detail)を理解する能力、
があり、こうしたskillを問う問題でなければなりません。
実際の英文を読むことを想定して、長文問題は作るべきです。
3つ目 英文を書き換える問題
こんな問題があります。
Tom broke the window.
=
The window ( ) ( ) by Tom.
英文を同じ意味になるように、書き換えなさいという問題です。
まず、この2つの文は同じ意味の文ではありません。
形が変われば、意味も変わってくるのです。
文法を教える際は、必ず意味(meaning)と形(form)を教えなければならないのですが、
これだと、formしか問うておらず、meaningに関してはもはや出題者側が間違えているレベルです。
上の文は、話題になっているのはTomであり、windowではありません。
しかし、下の文は話題はwindowであり、それ以降はwindowの説明です。
ピカソについての説明をしている時にはPicasso painted Guerrnica. と言いますが、
ゲルニカの説明をしている時には、Guerrnica was painted by Picasso.と言うようにです。
4つ目 和文英訳問題
和文英訳自体は悪くないとは思いますが、こんな問題がありました。
次の文を( )の語数になるよう、英語に訳しなさい。
1 青い目の男は日本製の車を運転していた。(13語)
まず、こんな文章いつ使うねん、ということですねw
全く前後の文脈、言葉が発せられた状況が見えてこない。
こんな意味不明な文を訳させるあたり、先ほどのformしか意識していないということです。
そして、13語という縛りがあります。言い方はたくさんあるのに、13語という縛りがあるために、13語で完成する文を考えなければいけません。
まるでクロスワードパズルをやってるかのように。
これでは、英語がいくらできても、誤答する可能性があります。
考えたのは
The man with blue eyes was driving a Japanese car. (10)
The man who has blue eyes was driving a Japanese car. (11)
The man with blue eyes was driving a car which is made in Japan. (14)
The man with blue eyes was driving a car made in Japan. (12)
もう至難の技ですw
These was a man with blue eyes who was driving a Japanese car. (13)
これでいいのだろうか…。
5 つ目 発音問題
both, caught
oとaughの発音は同じか?
と問う問題で、私は間違えました。
これは良い問題なのか?
ネイティブでも同じように発音してる人はいそうだし、
地域や人によっても異なりそうだし、
そもそもこれを問題にすることに意味があるのか不明です。
うーん、どうなんだろ。
大学入試試験、センター試験などは変わってはきてますが、
試験の内容が変わらなければ、実際の授業も変わらないわけなので、
英語教育は、試験内容から、見直すべきなのではないかなと思います。
(そして私の日本語能力のなさをお許しください 笑)